こんにちは、追憶発売に向けて最終工程に入っております西条彩子です。ひーひーしてますがなんとか頑張る毎日です。
ということで、今回もお返事兼、印象的だった感想をピックアップ。それからお寄せいただいた質問にお答えしたいと思います。
登場人物のリアリティ
登場人物にリアリティがある。よくおっしゃっていただく感想のひとつです。
メイン・サブ含め、フィクションだけど現実味のある、血の通ったキャラクターにすること。
これは『緊縛』という人の心に触れる行為を描こうと思ったときに、自分に課した絶対のルールでした。
この作品にスパダリはいません。特別な能力の持ち主もいなければ、溺愛だってされません。みんな悩み、苦しみ、葛藤し、何かを掴もうともがいている。それがやっぱり愛おしいのです。
(あでも結衣子の縄読みはある意味特殊能力か? 稜のそれもある意味溺愛……?)
縛りの信条
字や絵に個性が出るように、緊縛もまた個性が出ます。同じような後手縛りでも、過程は全然違う。師匠や流派の違いももちろんありますが、やはり性格が出るんです。
でも、それを文字で表すにはどうしたらいいのか、さっぱりわかりませんでした。
『ポリシーを持って縛る』という語を目にしたのは、書く直前、ちょうど構想中のことです。
「これだ!!」となりました。すでにそのときにはメイン四人がある程度固まっていました。すると不思議なもので、全員のポリシーもすんなりと出てきた。そのうえ話も転がりだしたのです。「あー、ハマったなー」と思いました。
ハプニングバーのこと
電書化にあたり相当な文字数を削ったのですが、その分の加筆で重点を置いたひとつがここ、遥香のスタート地点ともいえるハプニングバーとその住人の描写です。
システムやルール、優良単男の客・満のこと。なにも知らない遥香が主人公だからこそ、書けた部分でもありますね。
ですがハプバーの、というより首都圏のハプバー事情、というほうが正しいかもしれません。地域によっては、ただの出会いの場であったりするようです。
いずれにせよ、せっかくの創作物。どうせなら読者の方がなかなか知らないような世界をお見せしたかったのが一番でした。
仲秋先生、現る
多くの方が驚いてくださった、先生の登場。追憶や麻をお読みいただいた方が抱いたというソワソワ感に、私もニヤニヤさせていただきました。
いやー、猫かぶってますねー、むしろ狸ですかねー、いずれにしてもソワソワしますよねーw
でも、縛りになると別です。別人です。なんなら別格です。貢物とキープボトルも別格です。響30年、銀座でキープしたらいくらすんのかな……調べるのコワいわぁ……。
最後までできなかったふたり
付け足し程度の加筆は随所で行いましたが、展開を変えたのはここくらいじゃなかろうか。
はい、初稿では最後までしましたが、書籍版では変えました。ここにきて「なんかチガウ」って思ったのです。
いくら彼にNTRの気があろうと、このときすぐにできちゃうかな、と。それはそれ、って割り切れるかな、と。
違うんですよね。でも遥香は遥香で、いろんな収まりがつかない。だからそこに至るまでの会話と思考を、より丁寧に紐解いていきました。
「だったらなんで私に見せたのよ!」
叫ぶような遥香の啖呵が、今になって出てきました。そんな軽薄な気持ちじゃないでしょ、って、言っているような気がしました。
作中に登場する緊縛関連含め専門的な知識が非常に豊富なように見受けられ、それは実経験などに基づくものなのでしょうか?
作中の空気感や講習の様子にリアリティーがありすぎて少々気になってしまいました。
ひゃっほう! リアリティ感じてくださってうれしいうれしい! 実は過去に「女王様だったんですか?」なんてのも訊かれました。違います! 興味はあるけどね!
というわけで、お答えしてまいります。
まず緊縛経験。これは、一応ですがあります。お相手はプロではなく、縄を習ってるという人のを受けたことがあるだけです。
でもそれだけでも、なんか性格が透けて見える感覚がありました。結衣子の『縄読み』はこの体験からきております。実際の受け手の方でも縛り手の機微を感じ取る方がいるそうです。
次に、講習経験。これも二回だけですがあります。縛り手側で参加しました。安全管理のことと鋏を手元に置くことは口酸っぱく言われたので、瑛二が厳しいのもこれが由来です。
ちなみにその方はナイフより鋏を推奨してました。思わぬ事故の可能性をより減らすためだそうです。
あともう一つ、講習中遥香が瑛二に注意を受けるシーンもありますが、あれも実体験です。受け手の子が緊縛状態で膝立ちになって動き出しちゃって、私が制御できず講師に「相手を見ておけ」と注意された、なんてことがありました。
虚構の中に本物があるので、よりリアリティが生まれたのかもしれません。
それから実際にショーやフェティッシュバーに足を運んだり、ネットサーフィンで記事を読み漁ったり、緊縛もののAVを流しながら描写を書く、なんてこともしました。
参考資料は以下です。
緊美研通信(三十年くらい前の廃刊雑誌。神保町の古書店で3000円ほどで買った)
なのでどちらかといえば取材・調査が7割、体験3割ってところでしょうか。
ほかに訊きたいことや、これを受けてさらに何かあれば、どうぞお気軽にお伝え下さい!
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